情熱的に愛して
それは、シンプルなデザインの中に、少しだけ流行りの絞りが入れられていた。

「どうだ?女性は、こういうのが、好きだろう?」

いかにも女性の好きな物は、知っていますって言う顔の店長に、私はクスッと笑った。

「熱いですね。」

「そうよ。仕事は情熱を持ってやらないと、成功しないからな。なあ、門馬さん。」

店長は、雪人の背中を叩いた。

「そうですね。」

当たり障りのない返事。

クールな雪人には、ついていけないテンションだったかな。


「恋愛だって、そうでしょ。」

急に恋の話を始めた店長さん。

ちょっと大人の人が、珍しい。

「ここぞと言う時に、冷めた目で『去る者、追わず。』って顔をしている奴は、結局誰も捕まえられないのさ。」
< 227 / 234 >

この作品をシェア

pagetop