情熱的に愛して
そんな秋香を見ながら、門馬雪人は笑っている。

「何よ。そんなに笑うところ?」

秋香も、呆れている。

「いや、こいつにもそういうしたたかさがあったら、とっくに彼氏でもできてるんじゃないかって、思ってさ。」

「こいつ……」

門馬雪人が指さしているのは、明らかに私だった。


「よ、余計なお世話。」

ビールのジョッキを、テーブルに置き、私は思いっきり口の周りを拭いた。

「大体、あんたはいるの?」

「何が?」

「その……彼女って奴。」

「いないよ。それがどうした?」

門馬雪人は、冷静にみんなのジョッキを見て、お代わりを頼んだ。

「彼女いないなら、人の事言えないじゃん。」
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