情熱的に愛して
「なんで否定しないの?」

「そんな何度も何度も否定していたら、余計怪しまれる。こういうのは、受け流すのが一番いいんだよ。」

尤もらしい意見を言われて、はい、撃沈。

どうせ、こいつには敵わないですよーだ。


「メニュー表取ったついでに、鶏の唐揚げ頼んで。」

「はいはい。」

私は、ビールの飲み過ぎで、頭がクラクラしながら、店員さんを呼んだ。

「すみません。えーっと、何だっけ。」

「忘れたのか?」

門馬雪人が、メニュー表を下げる。

その様子がカッコよくて、思わずドキッとした。


いやいや、こいつは顔は良くても、冷たい奴だから。

私は自分に言い聞かせた。

「大丈夫。」
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