情熱的に愛して
その声の主に、腕を引っ張られ、私は立ち上がった。

「……門馬雪人。」

「フルネームで呼ぶな。」

すると門馬雪人は、辺りを見回した。

「おまえの部屋、確かこのマンションだったよな。」

「……そうだけど?」

「仕方ないから、連れてってやるよ。」

そう言って奴は、私の手を握った。


うわぁ……

私よりも少しだけ、背が高い奴に連れて行かれるこの居心地のいいスピード。

クセになりそう。

「ここか。入り口は。」

門馬雪人は、オートロックの鍵を私に開けさせ、一緒にマンションの中に入る。

なんだか、恋人同士みたい。


「いつも……こんな事してるの?」

「別に。今日は特別。」
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