情熱的に愛して
翌日、私は寝不足だった。

「何?その酷いクマ。」

化粧ポーチから鏡を出して見ると、目の下にくっきりと、黒いクマができていた。

「ああ、最悪。」

今日は合コンが無くてよかった。


「昨夜は、眠れなかったの?」

秋香が、隣の椅子に座った。

「うん……」

「悩みだったら、聞くよ?」

悩み。

それはただの一つ。

門馬雪人のプロポーズを、どうやって断るかどうかだ。


「秋香。結婚の断り方、教えて。」

「あなたとは、結婚しません。」

「そうだよね。そうだよね!」

私は、勢いよく立ち上がった。

「結婚しませんって、はっきり言う事だよね。」

右手の拳を強く握った私を、秋香は椅子に座らせた。
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