情熱的に愛して
「本当、助かるわ~。」

スーイスーイと掃除機を動かしていると、門馬が風呂場からやってきた。

「今、カビ取りしてるから、しばらくして水で流したら終わり。」

「ご苦労様です。」

私は機嫌よく、門馬に頭を下げた。

「いやいや、こちらこそ。掃除機かけてくれて、ありがとう。」

なにこれ。

どれだけ、イケメンなの?

掃除機かけただけで、お礼を言われるなんて。

知らない間に、胸がドキドキする。


「あれ?おまえ、ここ拭いた?」

「えっ?」

私が笑顔で振り返ると、奴はテレビ台を指した。

「ここ、埃溜まってるんだろう。」

私は、掃除機を側に置いて、門馬の側に行った。

「そんなに、溜まってないと思うけど……」
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