情熱的に愛して
「だから、潔癖症じゃないって。」

カビ取り剤を置いて、手を洗った門馬は、急に私の手を握ってきた。

その温かい手に、力が入らない。

「な?」

顔を上げると、門馬と私は目と目が合った。


門馬の涼し気な目が、私を見つめる。

私は、ゴクンと息を飲んだ。


「どうした?俺のカッコよさに、息もできないってか?」

「何言ってんのよ!」

手を放さそうとしても、門馬がわざと放さない。

「早く放せって。」

「放さないのは、門馬の方でしょ!?」

腕を上下に激しく振ると、門馬はようやく手を放してくれた。

あまりにも激しく振ったものだから、髪の毛までボサボサになってしまった。

「はははっ!」
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