情熱的に愛して
そんな私を見て、門馬は笑っている。

でもなんだろう。

どうして、門馬に腹が立たないんだろう。

むしろ、ほのぼの感が込み上げてきて、顔がにやけてくる。


「なんかさぁ。」

門馬が、お風呂場に置いていた、カビ取り剤を持った。

「偽装結婚だけど、誰かと一緒に暮らすのも、楽しいよな。」

「……うん。」

素直に返事をした私に、門馬はニコッと笑っている。


待って。

相手は、門馬雪人だよ?

会社では、クールなイケメンで通っている門馬が、私の前ではこんなに笑ってくれるなんて。

静かに胸が奥が、トクントクンと鳴る。

落ち着け、落ち着け。

私は深呼吸をした。
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