情熱的に愛して
その日の夜。

なんなく夕食を終えて、私はキッチンで、皿を洗っていた。

そんな時だった。

「今日は、もう一本飲もうかな。」

門馬が、わたしのいるキッチンに、入ってきた。

冷蔵庫を開けて、私の方をドア腰に見ている。


これは、”もうダメ。飲み過ぎなんだから”と言われる事を待っているのか。

それとも、”もう一本ぐらい、いいんじゃない?”と言われるのを待っているのか。

いづれにしても、私の背中への視線が痛い。

ちなみに冷蔵庫には、【ビールは一日2缶まで】と書いてある。


「ねえ、夏海ちゃん。」

背中にぞわわと、悪寒が走った。

「な、何よ。」

「もう一缶、ビール飲んでもいい?」
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