(好きです)
次の日。
書類の訂正のために早めに出勤する。
オフィスに着くとほとんど誰もいなかったけど、課長はすでに出勤していた。
急いで訂正して、課長に渡す。
「課長。直しました。確認お願いします。」
「あぁ。OK。ありがとう。たすかったよ。」
訂正箇所を確認した課長がまわりをを見回す。そして、私をみてにやりと笑った。
「ところで。これは俺宛で間違いないな?」
彼が持っているのは間違いなく私が昨日書いたメモだった。
「はい。」
「んじゃ、これも俺宛で間違いないな。」
彼がメモを裏返し……指差すその先には消したはずの"好きです"の文字。
「なんで?!確かに消したのに!!」
恥ずかしい。気づかないと思ったから書いたのに。
「消してたのかよ。なるほどな。」
私の言葉に彼が笑う。
「浅井が使ってるあのペンな、温度に反応するから冷凍庫入れたら出てくるんだよ。」
そんなっっ
こんなことなら、書かなきゃよかった。後悔しても仕方ないけど。
< 4 / 5 >

この作品をシェア

pagetop