あっちじゃなくて、俺のほう向いて。
「よ、芳樹くん?」

「なに?」

「……もしかして今、ちょっと照れてた?」


普段は落ち着いてて

あんまり動揺したところとか見たことなかったから

新しい表情が見られると、嬉しい。


「芽依ちゃんじゃないんだから、これくらいじゃ照れませんー。」


ふい、と目をそらされたからその表情は見えなかったけど

芳樹くんの耳は、いつもより少しだけ赤くなってるような気がした。

< 239 / 594 >

この作品をシェア

pagetop