あっちじゃなくて、俺のほう向いて。
私が言うと

別に当たり前のことを言っただけだし、と芳樹は私から目をそらした。


「ねー…、芽依?」

「何?」


電車の中、隣には百合ちゃんが私に寄りかかって眠ってる。


「……これからもずっと、俺のほう向いてて。」


芳樹は、百合ちゃんに聞こえないように

私の耳元で

そっとそう、呟いた。


-end-
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