【短】桜の涙に恋焦がれ
「柳瀬くん?」
「お願いします。もっと自分を大切にしてください」
柳瀬くんはどうしてこんなに必死なんだろう。
わたしはどうして頑なにあんな最低会社にしがみついてるんだろう。
「わたしは会社を辞めるべきなの? 短大卒は根性がないって言われるんだろうな」
「だったら、一緒に辞めますか?」
「は!? 何言ってるの? 柳瀬くんが辞めてどうするのよ!!」
「そうすれば、咲川さんと辞めれば。短大卒が根性なしなんて言えなくなるから!」
「バカ! こんな短期で辞めたらこの先の就職なんて出来ないでしょ?」
話が変な方向にいってしまった。何を争っているんだろう。
それに、こんなに柳瀬くんと話したのは初めてだ。無口なはずの柳瀬くんが今日は饒舌。