想いヨ届ケ
ーある春の平日の昼休み
桜が綺麗に咲く、校舎裏の中庭にて
「好きです」
何回目になるか分からない告白をする
もちろん答えは、
「ごめんなさい」
ですよね、分かってましたよ?
だけど、やっぱり傷つくものは傷くんです・・・
振られるのだって、慣れるものじゃないからね
告白をしてバッサリと振られたのは私、高橋美雨-タカハシミウ-
そして告白を受けた男の子は松矢紀汰-マツヤキイタ-くん
「ダメですか?
好きなんです!どうしても!」
「うん、ごめんだけど、君のこと、よく知らないし
それに、はっきり言って何度来られても困るよ」
「好きです!迷惑がられても好きなものは好きなんです!!」
「とにかく無理なものは無理
授業始まるから行くね」
「あ!ちょ、待って、、、」
そんな私の声も彼には届かず、スタスタと歩いて行ってしまった
でも今日は、
「ちょっと会話できちゃった、幸せ〜」
いつもは告白を断ったらさっさと帰っちゃうから何も話せないんだけど、今日はちょっとだけかいわができた
それにそれに、先に帰るねって、言ってくれるなんて、私も一緒に帰っちゃえばよかったな〜
これだけでも私には十分すぎるくらいの進歩
だって、最初の時なんて
『好きです!』
『・・・・・・』
『え?!ちょっと!待って!』
そのままスタスタ歩いて帰ってしまった
その次だって、
『松矢くん、呼び出してごめんね
あの、好きです!』
『・・・・・・何?』
『だから、えっと、好きなんです!』
『ごめん、イヤホンしてて聞こえなかった
急いでるから帰る』
その場に残された私はポカーンとした
そのあと後だって好きですって言ったって無視か聞いてないかのどちらかだったし、いい時でもごめんって言って帰っちゃうし
だから、私にとっては一言でも二言でも大事なんだよなぁ〜
なんて、余韻に浸っていたら
ーキーンコーンカーンコーン
えっとー、これは、授業、遅刻?
ま、いっか!
いい事があったし、今の私は超絶ハッピーだから!
ルンルンで教室まで戻って、数学の先生の山ちゃんにこっぴどく叱られたのは言うまでもありません・・・