子犬とクマのワルツ

***

(どうしたんだ?)

昼食後にデスクで缶コーヒーを飲みながら考える。
ああいう態度を取るような子ではない。
昼休みが終わるまで30分程ある。
高山は戻っていないが、尾関が数人の同僚と立ち話をしているのが見えた。

机に置いてあるメモ用紙を1枚破り、書きつける。
引き出しの手前に入っているいつものゼムクリップではなく、奥にしまい込んでいたクリップのパッケージを開けた。

(ガラじゃない。ガラじゃないのはわかってる。)

気恥ずかしさをこらえ、パンダの形を模したそれを二つ折りにしたメモにつける。

「あ、高山ぁ。おつかれ」

尾関の声に顔を上げると、昼食から戻ってきたらしい高山が、弁当箱の包みを抱えたまま呼び止められている。

「…」

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