子犬とクマのワルツ
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同じ階にある小さな会議室の扉を開けて、電気をつける。
10人も入ればいっぱいになる部屋のテーブルに体を預けた。
ドアは、すぐに開いた。
「あの…」
顔だけ覗かせている彼女を手招きする。
部下の顔のままでいいのか、戸惑っているようだ。
「おいで」
高山は、それだけで理解して安堵の表情になる。
こちらに来た高山の手を引いて、すっぽりと自分の腕の中に閉じ込めた。
突然の行動だったので、小さな身体がピクリと震えてポニーテールの毛先が頬をくすぐった。
甘い、香りがした。