子犬とクマのワルツ
ふうっとため息をついて、彼女の置き土産の紙束を見る。
各販売店から上がってくる売上報告をチームごとに振り分けて配られる。
それを必要な数値だけ抽出したり、一覧にしたりとひと手間が必要だ。
アナログだが、報告書の様式が担当文具ごとになっていないので紙媒体でまとめざるを得ないらしい。
(誰かに頼むか)
そう思って顔を上げると、高山と目が合った。
声をかけようとした瞬間には、ぱっと俯いていて、俺からは少し散らばるように首筋にかかる髪しか見えなくなる。
(…)
12時を告げるチャイムが鳴ると、高山は弁当を持って足早にフロアを出て行ってしまった。