珈琲の中で
先生が教室に入ってきて今日がはじまる。
「今日はこれを描いてもらいます。」
先生は銅像を指してこう言った。
僕たちは鉛筆や筆を走らせる。
この銅像はなんでこんな悲しい表情をしてるんだろうか。
その表情を殺さないように描いていく。
やっと仕上がる頃。
「よし、やめっ。」
絵を先生が拝見し出す。
「貴瀬の絵は相変わらずすごいな。人間味がよくでてる。」
人間味か。
「ありがとうございます。」
まぁ、褒められて悪い気はしない。
適当にあしらう。
先生はみんなの絵を見ていく。今からみんなの絵を鑑賞する時間だ。
みんなの絵は色が沢山使われていて綺麗だった。僕の絵は色を帯びていない。
みんなの目に映る銅像は太陽の光を帯びていたり、その中に悲しさがあったり。
いろんな色を使って表現されていた。