珈琲の中で
浅煎り
夕方の日が暮れる頃。
お客様も帰られて後ろにある珈琲豆が入った瓶を取ろうとしたとき、店のドアが開いた。
「いらっしゃいませ。」
振り向くとそれはそれは綺麗な顔立ちの男の子が立っていた。
男の子は軽く会釈をして一番奥のカウンターに座った。
ふと目があう。
目は気だるげで、髪は黒くて少し目にかかるくらい。唇は薄くて、すっと鼻が通っていた。トートバックからスケッチブックが顔をだしている。
「「、、、、。」」
少しの間目で会話する。
お互いがお互いを探る瞬間が私は好きだ。
でも、そろそろ話さなきゃ。
「ご注文お決まりになりましたら、お声をかけてください。」
彼は少しどもってこう言った。
「えっ?、、あぁ、ありがとうございます。」
どもった姿が可愛らしくてちょっと笑ってしまった。
グラスを吹きながら注文を待つ。