珈琲の中で
カウンター越しの彼女はグラスを拭きながら、俺に話しかけた。
「春君は学校ではどう?」
「こいつの絵はめちゃくちゃ凄くて、みんなから褒めらてます。最近こいつの絵の雰囲気が変わりはじめてて。やっとここにきて理由がわかりました。」
俺は彼女に笑った。
彼女は目を見開いて俺にきいた。
「どういう風に変わったの?」
「それは「君を描くとき、色を使わずにはいられなかったんだ。」
俺が答えようとした時、貴瀬がスケッチブックを置いて答えた。
「いつも、色が無いって言われてたけど君といるうちにいつのまにかパレットの上に色が溢れて。僕の見える世界が色鮮やかになってたんだ。」
こいつ、前よりずっといい男になったなと思った。
貴瀬の話を聞いて彼女は目を見開いて、子供みたいに無邪気な笑顔で笑っていた。