甘やかして、私だけ
*happening*




大学1年生が終わるころ





俺は悩んでいた、


ほんとにこれでいいのか、なりたい自分になれてるのか




大学入るまで興味のなかった服着たり、




ちょっと他の奴よりモテるからって__





「遊びすぎかなー…なんて!!」





いつもやってるように、おどけてみる


けど、俺しかいない講堂には響く響く




この時期の学生にあるモヤモヤ



まぁ、青き若者あるあるってやつ?




「はぁ~どうすっかな」




机に置いた退学届と休学届に目をやる







”バンッ”





急に開いたドアに静かに驚く




そこに立っていたのは一人の女の子で




「!?」




あっちもおどろいてる・・・




って!泣いてる!?




「あ、おれ、かえりま~す」





きっと一人になりたくて来たんだろう


そう俺なりの気遣いで席を立つと





「別にいい。プリン食べるだけだから!」





はっ!?プリン?!





「ここ飲食禁止ですけど・・・」



「うっさい!うぅ…ひっく…。別に、もう、怒られても変わんないし!」



う、うん。  とりあえず……



どうしたんだろうこの子・・・




帰るに帰れなくなった俺は、黙って座る




一番前に座っていた俺の横を通りすぎて、一番後ろに座ったのが音で分かった



「うぅ…くっ…おいしいぃ…」

「・・・。」




めっちゃ泣きまくってプリン食ってる。




することもなくぼうっとしていると




「辞めちゃうの?大学…」


「え?」


「通ったとき、とき見えた・・・」


「あ、あぁ。まだ迷ってる感じかな」


「ふ~ん」


ふ~んって・・・。





「おこがましんだけど、やめないほうがいいと思う。」




「え?」





「私、結構離れたところからここにきて、・・・でもっ。」



言葉がつまった…泣きそう?



いや泣いてる・・・




「ふぅっ…でもっ、地元に帰んなんきゃなんくてっ…」

「大丈夫?」

「大丈夫じゃないの!全部ここに置いて帰んなきゃなんから!」




全部っていうのは、やりたいこととか、夢とか、友達とか・・・?




「だからっ。なんとなくでも、わかんなくても、通っておきなよ…」




その声は離れてる距離に反してしっかり聞こえてきた




「君、甘いもの好き?」



「えっ?嫌いじゃないけど…」



急だなぁほんと・・・




「これあげる。」



いつの間にか、横に来て俺の前に何かおいていった



「それ食べると元気になるんだよ!」




へへって笑った君の顔には、もう涙はなくて



そうして、君は、返事をする間もなく出て行った



「変なの。」



目の前のプリンを見て心底そう思う



「甘っ」




蓋をあけて、一口食べてみる




口に広がった甘さは俺には甘すぎるかな・・・











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