甘やかして、私だけ



「ん~~っ!すっごく美味しい!!」


思わず笑顔になってしまうこの味


懐かしい・・・



お兄ちゃんがこの肉じゃがを作ってくれるのは


いつも、お兄ちゃんと喧嘩した後で・・・


毎回この味に私は丸め込まれてしまうんだよね





「それにしても、この笑顔がアイツのものになってしまうなんて、…」


「??」


なぜか、私の笑顔で悲しんでいるお兄ちゃん




すると、



「はぁ…マジで、俺、何回走るの今日…」

「あ、忘れてた…」



そこには疲れている将くんがいて


私、途中で置いてきたんだった…



そういえば!、まだ紹介してなかったよね


思い出し、私は一旦、箸を置き説明する



「お兄ちゃん、お付き合いすることになった、三村 将くんです!…」


なんか口に出して言うのは気恥ずかしいな…




そして、すかさずといったように将くんが


「い、今!?このタイミングで紹介!?」


ちょっと遅くなっただけじゃん

そんなプリプリしないでよ…




それを聞いて、なんだか悲しげなお兄ちゃんが


「お兄ちゃんあいつ気に入らない…」


え・・・!?なぜ!


まさか!



「将くんお兄ちゃんになんかしたの!?」


「なんで!、してないよ!!」


「残念だったね将くん、あかねは昔からお兄ちゃんっ子なんだよ」


なんだか勝ち誇ったような顔をするお兄ちゃん



それより、この肉じゃが・・・


「明日お弁当に入れて行ってもいい?」

「もちろん!あ、でも、汁が漏れたら困るからかつお節とかとろろ昆布を敷かないと…」

「ちょっと待った!!」



なに?突然大声を出す将くんの方をお兄ちゃんと振り向く







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