甘やかして、私だけ



「そういえば、あかねちゃんここよく来るんでしょ?」


「ん?まぁ…」



気を取り直してといった感じで


店内を見渡しながら聞いてくる将くん




「なんか落ち着くよねこのお店」

「やっぱりわかる?!」



店内はざわざわしてうるさいのになぜか居心地の良いこのお店



「二年前来た気も思ってたんだ…」

「田舎だな~って?」



私は少し笑いながら聞く


だってこの辺飲み屋さんとかしかないし、なんとなく下町感あるし



まぁ、そんな所が私は好きなんだけどね




こちらに向き直った将くんは



「あかねちゃんが、あかねちゃんらしくなっているというか」



へらっと笑って言葉を続ける



「なんか、そういうあかねちゃんが、かわいいんだよね…」


「…っ」



柔らかい笑顔で私に向けられた言葉に一瞬にして顔が赤くなる



「あー!あかねちゃん顔真っ赤!」


「赤くないし!」



いや、絶対赤いだろうけど

意地悪な将くんには言われたくない!



私は隠すように慌てて飲み物が入っているグラスに口を付ける



将くんのかわいいにこんなに翻弄される日が来るとは思わなかった



「もー純粋だなー」


「やめてよ!」



テーブル越しに手を伸ばし私の頬をツンツンしてくる



すぐつんつんするなって何回も言ってるよね!?



大体、まだ全然、将くんみたいに慣れてないんですよ。











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