甘やかして、私だけ




「とにかく!俺ほんっっとうに不審者じゃないから!」



「・・・。」



そんな見た目してどこを信用すればいいのよ・・・。




数歩離れた所にゆる~く立ってるこの男は




髪の毛は金髪に見えるくらい明るい。毛先だってチャラく遊ばしてある




顔は暗くてちゃんと見えないけど・・・




身に着けている指輪やネックレスは街灯に照らされてこちらからでもよく見える








そもそも、


不審者が”ぼく不審者です”なんて言うわけないじゃん!





私がなお男を疑って黙り込んでいると





「~~~っ!」


寒っっ!!



まだ冬の面影を感じさせる夜風が遠慮なく肌を刺した




「やっぱまだ夜は寒いな、よかったらこれ着て。それにこれも返す」




思わぬ夜風の寒さに身震いする私に、着ていたジャケットを脱ぎ私の肩にかけてくれる



私が投げつけた財布も渡してくれた・・・





「じゃあ、気を付けて帰ってね。」


「あっ、ちょっと・・・!」




引き止める間もなく男は来た道を引き返して歩き出す



はぁ!?なんなの一体・・・




肩にかけられたジャケットからあの香水が匂った



「やっぱ、チャラい」


~~っ!!

てかやっぱり、さむっ

早く帰ろっ。


もう姿見えないし返しようないもんね





消えない不信感を抱きながらも私は帰宅した









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