甘やかして、私だけ
*:*~


「今日は結構涼しいですね~」


呑気にのびのびしている新人社員八城君…


多分、きっと、いや絶対チャラ男な八城君の教育係になって数日…



彼のことが結構わかってきた、


まず、仕事はとてもできる。頼んだことはきちんとこなしてくれるのだ。


そして、数日の間で、部署の人たちとはすっかり仲良し、つまり、人懐っこいのだ。


確かに営業向けだな…


白村パイセンはそう思う(






「さーて!八城君、出かけよう!」

パタンとファイルを閉じ立ち上がる


「え、デートですか?」

「いいえ。もちろん違います。」


何か言っている八城君より先に歩きだす



今日は、仕事が少なく、上司からそこそこに広い社内を案内してと頼まれているのです。



*:*


「3Fが八城君が所属されるであろう営業部で、その上は…行ってみよう!」

「はーい。」


口で説明するより早いと、エレベーターに乗り込む…



すると、前に立っていた八城君が、

「ところで、当麻さんの同期ってみんな仲いいですよね…!」


ふとこちらに振り向いたとき、


「…ん?」


ふっと匂った香り…なんだろう?


なぜか懐かしさを感じるその香り……


「って、先輩?聞いてます?」

「え? あぁ!…うん!なんでだろうね?」



返事がない私に少し近づいたとき、八城君が付けている香水が香ったのだとわかった・・・





”ポーン”


エレベーターが目的の階に到着し


「…ここが、企画部の階で・・・」


なんだろう。どこかで嗅いだことのある匂い・・・



そう思いながらも、社内の説明を続けた…













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