甘やかして、私だけ



「って、なんでこうなった?」


私は今、落ち着いた雰囲気のカフェにいる


「僕、一人ランチできないんですよ。」

「なんだそれ…」


そう、八城君と…


「まぁまぁ、いいじゃないですか♪」


何がいいのかわからないけど、来てしまったのは仕方ない


渡されたメニューを見る


すると、

「入社してから見つけたんですけど、このお店めっちゃ良くないですか?」


たしかに、内装も落ち着いててメニューはどれもおいしそう…


そして・・・


「うん。女子全般にウケそう…」

「ですよねー‼」


だろうね。入社して色々頑張ろうと思って探したんだろうね!八城君!



なんだかんだで注文を済ませると、


「白村先輩の元での研修も、もうすぐ終わっちゃいますね…」

「うん。やっと。」


悲しそうにしている八城君のこういう所が人懐っさなのか…


そう思いながらコーヒーにミルクを入れる



「冷たいな…。あ!そうだ!白村先輩にお願いがあるんですよ!」


突然、思い出したように言う八城君、


「うん?なに?」


どーせ、ろくなこと言わないんでしょ…


「僕が今日のランチ奢ったら…」


そう思いながら、スプーンでミルクを混ぜようとしたとき



「あかね先輩って呼んでいいですか?」


”カラン”


スプーンがテーブルにゆっくりと落ちる



唖然とする私に八城君はいつもの表情…


「…で、先輩も僕の事、下の名前で呼んでくださいよ!」


落としたスプーンを拾って代わりに私のコーヒーを混ぜてくれる・・・

のは、ありがたい!!!


けど!!







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