甘やかして、私だけ


”ポーン”



八城君側のエレベーターが先に到着し、


「じゃあ!あかね先輩また~!」


「うん、お疲れさま~!」



さっきなんて言ったんだろう?


言った本人はもうエレベータに乗ってしまった…




”ポーン”


私の方のエレベーターも同時に到着し、乗り込もうとすると・・・




「・・・えっ?えええええっ!!!」


「…?」



なに?今の大声!



八城君が乗った方のエレベーターから聞こえた…



すると、



誰か、ダダダダッと逃げるように閉まるドア、


ギリギリで駆けこんできた・・・



それは、もちろん、



「…どうしたの、八城君…」




驚きを隠せないでいる八城君…




「あっ。ああああ、あのっ!」


「落ち着いて…」


驚いたまま逃げてきたエレベーターを指さしている、



どうしたのだろう?


気になりながら目的の階のボタンを押す



「…当麻さんとっ……‼」


「当麻と?」


「杏奈さんがッ…‼」


「杏奈が?」


「”オフィスラヴァ”してましたッ…!!」


なんだ、その発音…。



って、


「知らなかったの?」


「えーーーー!知ってたんですか!?」




当麻と杏奈は幼馴染で、もぅ、…うん。


そんな関係なのですよ!(



「いま、めっちゃ、イチャついてましたよ!マイワールドでしたもん!」



あんなエレベーターに乗れるわけない!と怒っている八城君…


いつも、軽~い雰囲気の八城君が、とても慌てている姿が新鮮で…


「ふっ…」


なんか、弱みを握った気分!


「えっ…?」


先輩?と笑っている私を不思議そうに見る




「ふふっ…私の事驚かしたからバチ当たったんだよ!」



あははっとついに声を出して笑ってしまう



だって、そうでしょ?









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