甘やかして、私だけ



「なんで私たち手繋いでるの…」


「なんでだろうねぇ?」



”うふふ”とかいってニヤニヤしてる三村がキモイ。



突然現れた人と突然手繋ぐってなんなの…



だいぶ冷ややかな目線を送る



すると、



「それ、重そうだね」



そう言った三村くんの視線の先には、私が持っているエコバック




「いや、そうでもないよ。って、もうこんな時間!早くご飯作らないと!あはははは~」



逃げるなら今がチャンス‼


手が緩んだ今、私は適当な理由を付けて急いでこの場を去ろうとした…


瞬時に方向転換し2,3歩歩いたところで



”ガシッ”



また~~!?今度はなに!?



逃がすまいと三村くんががっちり私の腕をつかむ



「作るって誰に??」


その言葉と共にグイッと腕を引き寄せられ


一気に距離が近くなる



あっ…この匂い…


ふわりと鼻をかすめたその匂いは、
三村くんの匂いだ…以前と違ってきつくないけど、微かに香るこの香水を体が覚えている



でもっ!!


ち、近い‼‼顔が近い‼


「…\\\っ…」


「ねぇ…彼氏に作る…とか??」


「…ぃない!いないよ!そんな人…!」



迫る三村くんに勢いで返事をするけど…

余りの近さにとっさに目を瞑った・・・






すると、


「へ?」


パッと離された腕、そっと、目を開けると落ちてしまった荷物を拾ってくれる三村くん…



「やっぱ重いじゃん、家まで持っていってあげるね☆」



けけけ結構ですぅ!!!




軽い!発言が軽い!私のドキドキを返せ!!


それになんか嫌な予感がする……!!・・・










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