甘やかして、私だけ

*Ⅳ*


*:*:



ってことで、私は今日の夜ご飯を作っている……二人分!





「♪~…」



リビングで鼻歌を歌っているコイツ、三村将と一緒に住むことになって数時間・・・




くつろぎ過ぎでしょ!!
こっちはこんなに意識して落ち着かないっていうのに!





「はぁ~」


のんきな三村くんにため息が出る



「ため息は幸せが逃げちゃうよ~」


「なっ…‼」


聞こえてたの!地獄耳め!!




「またあかねちゃんの手料理が食べられるなんて…ふふふ♪」


「キモイから。あっち行って」


「えー。なんか前よりあかねちゃん冷たぁーい」




・・・・。



無視無視。虫…。





:*:*


「よしっ」


出来上がった二人分のハンバーグをテーブルに置き座る



「…三村くん?」



急に静かになっていた三村くんを呼ぶ


「これ……」



三村くんは部屋の壁を指さしていた、



「あっこれね・・・」



見ていたのは二年前に三村くんといった動物園でのツーショット写真




なんか、わざわざ捨てるのもなんだし、何だかんだそのままにしてたんだよね・・・



懐かしいなぁ…

写真に写っているのは見た目が派手な三村くんで、

目の前にいる実物とだいぶ変わったなって改めて思う






視線を感じ写真から目を離すと




三村くんと視線が絡む…




「もしかして…ずっと、俺のこと待っててくれたの?」



ニッと嬉しそうなで私を試すような笑顔でそういった



「なっ…‼待ってない!」



何を言うかと思えば!

自意識過剰めっ!



びっくりしてバッと違う方に視線をずらすと



「あかねちゃん。正直にいってみ?」


な、なんか、近づいて来てない?



聞こえる声と共に感じる気配・・・



「だ、だから、それは…」



理由なんてどうでもいいとりあえず逃げよう!


危険を感じ取り反射的に距離を取る





が・・・




「ぎゃあ!…っ‼」




急ぐあまり、バランスを崩して倒れこんだ私、



もう、私ってほんとどんくさい!!!



そんな私の目に映ったのは・・・




「俺のことちゃんと覚えてたんじゃん…」



「っ……‼ちょっ、ど、どけてよっ!」




目の前に映る綺麗な顔に息が詰まる…



だって、これ、私、三村くんに押し倒されてない??




「ねぇ、素直になりなよ……」



「~~っ‼離してっ!」



がっちりと掴まれている手首と、間に入り込んだ三村くんの足で完全に動けない……‼


どうしよう・・・







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