甘やかして、私だけ
「離して欲しい?」
「・・・。」
離して欲しい!!
声の代わりにこくこくと首を振る
「じゃーあ、夜ご飯の前に私を食べてっ♡って…」
「言わない!!」
察した私は食い気味に否定する…
言うわけない!絶っっ対に!!そんな恥ずかしいこと!!
馬鹿じゃないの・・・まったく・・・
すると、
「じゃ、離してあげられないなぁ~」
声弾んでるけど…なんか、楽しんでない?
だけど、
目が本気だ…
まずい・・・
早くどうにかしなきゃ…でも、力じゃ敵うわけないし…
って!
徐々に近づいてくる三村くんの顔に焦りが増してゆく
いやだーーーーーぁ!!
本当に食べられちゃうよーーー!
あ!そうだ、
あることを思いついた私は、掴まれている三村くんの手を、ギュッと握り返す
「…あかねちゃん?」
止まった…!
もう鼻先が付いてしまいそうな距離に息をのむ
「っっ…三村くん離して。おねがいっ…」
熱っぽさを意識した瞳で、三村くんを下から見つめる・・・
「・・・。」
「ねぇ、きいてる?せっかく作ったのにさめちゃうよ・・・」
テーブルに置いたままのハンバーグをチラッと見る
「そ、そそそうだね!!」
めっちゃ噛んでる!!
「早く食べよう。ハンバーグを食べよう!」
三村くんはサッと私の上か退きテーブルに着く
ん?三村君、耳がすこし赤い…?
でも、本当…よかったぁぁ…‼
解放された私もテーブルに着く
こんなところでこんな奴に、くわれてたまるかっ!
おねだり大作戦、効果絶大だね!
でも、少し使い方間違えた気もしなくもないけど・・・
*:*
「うん!すごくおいしい!」
「ほんと?よかった!」
そして、おいしそうにハンバーグを食べる三村君にひとまず安心・・・