甘やかして、私だけ




「三村くん!?!?」


「なに?」


「なな、なんでここにいるのっ!?」



開いた口が塞がらない…ここにいるわけのない人がいるんだもん!!


目の前にいるのは、勤めている鍼灸院の制服を着た三村くんで


すごい、似合ってる・・・



じゃなくって!



「なんでって、あかねちゃんが呼んだんでしょ」

「へ?」


呼んでないんですけど・・・。


「数分前のこと覚えてないの!?メールくれたじゃん!」


メール!?



急いでポケットからスマホを出し

三村くんとのやり取りを確認する・・・



えええー



”会いたいな…”


見覚えのない単語がっっ


友子と杏奈だな。。。



ってか、こんな意味不明なメールを真に受けるな!!

そして、本当に会いに来るなよ!!!






「午後からお客さんほとんどいなかったし!きちゃった☆」


来ちゃった☆ じゃないよ!

職場が近いとはいえ、仕事抜け出してまでくる?




驚きと呆れ半々でいると



「あかねちゃん、なんかあった?」

「え?」

「あんなメール普段来ないし」



そっか、まともなときの私があんなの送るわけないから__





「悩みとか、なんか聞いてほしいこととかあんのかなって…」

「…‼」

やっぱり、心配してくれたんだ・・・


優しい声でそういって、頭を撫でられる




その気持ちと仕草に、キュッと胸が苦しくなる






「ありがと。でも大丈夫!」


だって、あれ私が送ったやつじゃないから




そう、顔を上げ、笑顔で伝えると



「えー俺だまされた!?」

「うん」



ついおかしくて二人で声を出して笑う




「ま、いいや。仕事中にあかねちゃんの顔見れただけでじゅーぶん!」


「変なの…」


ほんと変人だよね、三村くんって・・・











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