甘やかして、私だけ


「ねぇーこっち向いてー」


ひたすらスマホゲームの中で野菜収穫に集中する私…

三村くんの声なんて聞こえないし!!フンッ!





だけど・・・外はこんなに晴れてるし・・・


窓の外を見ると、日差しがキラキラしてる




家にいるの勿体ない…気がする!!


でも、この辺行くと来ないし、運転してまでどっか行きたくないし…


結局、根は干物女なんだよー





あ!でも・・・!





「三村くん」


「ん!?なに?」



無視していた三村くんの方をを見る



「夏日和だねぇ」

「そうだねぇ」

「夏と言えば?」

「あかねちゃんの部屋着が薄くなる!!」



やっぱダメだ、コイツ・・・


真面目な顔して言ってる三村くんにあきれる





けど、私は諦めない!!

今しかない!私が夏っぽいことを謳歌できるのは!!




「海でしょ!海!!」

「ああ、なるほど!」




なるほどって!

大学生活を満喫したであろう三村くんにわかんないだろうねっ!!


この、老いぼれた私の気持ちが!




海は見てるだけで癒されるし、素敵なんだけど、



海開きした今!みんながワイワイしてる場所に!



一人でなんて行けっこない!!!




そんな勇気、まだ私にはありません!






ってことで、


「はいっ」


三村くんに渡したのは


「車の鍵?」

「うん、行かないの?」



いくよね?いくよね?


だって、私運転したくないもん!



「ねぇ?」

キュッとシャツを握ってお願いしてみる




「っ…行くに決まってるじゃん!!!」



よしっ!!




少しの間のあと、

すぐに行く気になった三村くんは単純である・・・








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