甘やかして、私だけ



砂浜に足を取られながら、私は三村くんを引っ張り、走る。



そして、波が届くギリギリのところでピタリと止まった…



することはただ一つ…!


「三村くん!!せ~ので入ろっ!」


私の心は”ウキウキ”ルンルン!”


でも、


「え~俺はいいよ~」



なんでそんなに乗り気じゃないの!!



拒否する三村くんに少しがっかりする


休日に家でゲームしてるような奴だもんね!!




こんな天気いいのに!!

見上げた真っ青な空に、キラキラ輝く水面



やっぱり、入るしかないでしょ!!

真上にある太陽がさらに私をウキウキさせて




「だめ!一緒に入るの!!」

グッと掴んだ、私より大きい手を引いて駆けだす






”バシャ”

大きめの水しぶきを立て念願の海に入る



「う~ん!冷たくて気持ちい!!!」



サンダルのまま入った海は、きつい日差しで上がった体温を一気に冷やしてくれる!!



フライング夏休みに、フライング海!最高だね!


青春を一瞬で取り戻した感じ!!





「ねぇ!見てみて!ヒトデがいる!!」




すっかり楽しくなった私は満面の笑みで、


見つけたヒトデを三村くんに・・・


「うわっ!」


見せようと思ったんだけど・・・




突然!

手を三村くんの方へ強く引かれた_!!



”チュッ”



「え?…」




頬に何か柔らかいものが当たった…?


思考が完全に停止した私から離れていく影



「え?いまっ…‼」




ボボっと赤くなった私は今、状況を理解した・・・



私、…ほっぺにちゅーされた??




口より少しずれた所に落とされたキスに、


一気に心臓の音が加速する…



すると、


「ごめんっ…」


そう言って、ギュッと抱き寄せられた腕の中で


「かわいいなって思ったら、つい…」


そう三村くんは耳元で囁いた…



なぜか、苦しそうな三村くんのシャツからは

私と同じ柔軟剤の香りがした・・・






だけど・・・


ここ海。


ここ外。












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