甘やかして、私だけ



「離してっ!!」



誰か見てたらどうするの?!



そんな願いも含め、ジタバタするも、



「あかねちゃん、顔真っ赤」


「見ないで!」



急に人の顔を覗き込むなっ!!




動揺する気持ちと一緒に、足だけ浸かっている海に小さな波が立つ




「照れてるの?」


ツンツンと頬をつついてくる


「っ!照れてない!」


照れてなんかない!今日が暑いだけで・・・





「かわいいね…」


「っ…‼またそれ…」



三村くんってすぐかわいいって言う・・・




思ってなんかないくせに





かわいいなんて、誰にでも簡単に言っちゃう三村くんなんて嫌い…




でも、好きでもない女の子にかわいいなんて言える三村くんは大っ嫌い!!






「このチャラ男…」

「え?」



小さい声で言った私に三村くんが聞き直す





「これでもくらえっ!えいっ」



ドンっと胸を押し返し、離れた三村くんに




足元にいたヒトデを投げつける





「ひえっ!なにこれ!?」


「さっき、見てくれなかったヒトデ!」



思いのほか驚いてくれた三村くん、


だけど・・・





「生き物を雑に扱ったらダメでしょ…」





確かに・・・ごめんね、ヒトデさん。



投げつけてひっくり返ったヒトデを直す三村くん



優しい・・・家に、虫が入ってきても逃がしてるもんね


私の代わりに…有り難い…。



って!なんで、今、三村くんのいいところ思いつくの!



ちがう!ちがう!



私は怒ってるわけで!!



「この軽男ーーー」


そう叫んで私は、逃げるように浅瀬を走る



「なっ!?なにーーーーー!!」


「きゃーーーこっち来ないで!!」



なんか、三村くんが追いかけてきた!!










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