甘やかして、私だけ
夜風に当たりながら、静かな帰り道をひたすらに歩く
「はぁーあっつー」
お酒で火照った顔を手で仰ぐ
しばらく歩くと見慣れた景色がり顔を上げると
「うわ、きれー」
目の前には暗闇の中輝く宝石のような夜景がひろがっていた
昔から、ここの橋からの景色が綺麗なのは知ってたけど夜景は初めて見たな
もう、みんなお家に帰っている時間だから見れたんだ、ラッキー
「夜景に癒されるなんて年取ったなーハハッ」
乾いた笑い声が夜空に吸い込まれていった
自分も早く家に帰るべきなのだろうけど、
それぞれの家に灯る光に引き込まれつい見とれてしまう
気づけば橋の手すりにもたれて見入ってていた・・・
目に映る限り景色を見渡す、すると視界の右側に映ったひときわ高く輝くビル
うわーあんな大きなタワービルで働きたかったなぁ~
毎朝エレベーターで街を見渡しながら出勤して、お昼には優雅なランチ、帰りは社内恋愛してるカッコいい彼氏とヒソヒソ帰って、結婚して、子供出来て、マイホーム建てて・・・
いやー!妄想に飲み込まれる!!
「あの夜景の一部になりたぁぁぁぁい!!!!
私はただ幸せになりたいだけなのぉぉぉぉ!!」
日々のモヤモヤを晴らすように場違いな声で叫んだ
「はぁ~」
叫んでも夜景の輝きはちっとも変わらない、
なんだよ、非リア充の声は聞こえねぇってか!?!?
もう、早く帰って寝よ。
夜景とおさらばして帰ろうとすると