甘やかして、私だけ
*:*:*~~
「くっそ。なんでこんな時も綺麗なんだよッ・・・」
泣いて泣いて、走って走って
たどり着いたのがここ
「夜景なんてくそくらえ!!」
あの時と同じ夜景が見える近くの橋で
私は乱れた息を整えている
そんなに、キラキラできるんだったら思い出せないでよ、過去なんて!
走ってくるときに思い出してしまった自分が憎い
あんなのとっくに忘れたし
私は一人で生きていける決心がついたの、そしてもう自立した
だから、家族なんて・・・
「どーでもよくねぇーーんだよ!!!バカ兄貴!!!!」
…っはぁ…はぁ、なんなんだよもう夜景に叫ぶの癖なの?私・・・。
さっきから口悪いし…
叫び声が帰ってくるわけでもない
ただ、シンとした夜の空気が漂う
最近、日が伸びてうれしいよ、月も綺麗だし
でも、なんか足りない・・・
もう!また叫びたくなってきたぁ!!
手すりに体重を預けて、スッと息を吸う
そして、叫んでやる本人に絶対言えないから…‼
「追いかけてこいよ!クソ三村!!!」
付けて貰ったネックレスをギュッと掴む
願いを込めて・・・
すると、遠い昔に聞いたことのある足音…
「っ…はぁ…来てるからっ……」
「え・・・」
その声に、はっとして後ろを振り向く、そこには
「でも、ちょっと待って!…俺、今、…酸素足りてないからっ…」
情けない・・・。
暗闇から現れ、
息をこれでもかと切らしている将くんがいた