甘やかして、私だけ
「ほら、がんばって!思い出して!!」
私の肩を掴んでブンブン揺する
「ちょ、ちょっと!!やめてよ!」
「あ。ごめん。」
「思い出すって何を?将くんと初めて会ったのはここでしょ?」
そう、ここ、この橋で飲んだ帰りに、この夜景に叫んでたら勘違いして抱き着いてきたんじゃない
なんか、懐かしいな。今日は私が突然抱き着くことになったけど…
「違うんだよ。実は、ここで会ったのは初めてでもないし、偶然でもない…」
「え?」
なにを言い出すんだこの人・・・。
「ちゃんと聞いてね?」
「うん…。」
真っすぐ目を見て真剣に話す将くんに耳を傾ける
「俺が、初めてあかねちゃんを見たのは大学一年が終わるときで…」
_泣いて入って来て急にプリン渡した、とかなんか不審者じゃん、私。
「それで、しばらくして友達と本当にたまたまここにきて、あの居酒屋にいたんだ俺も…」
__え。あのとき、私が友子と杏奈と居酒屋に行った時、将くんがいたの?
「で、あかねちゃんを見つけたとき、奇跡だ、運命だって思って。連絡先だけでもって思ったんだけど…」
__それで、あのお店の宣伝カードに連絡先が書いてあったんだ
「そしたら、暗いのに一人で歩いて行ったから…」
「ついてきたの!?気持ち悪い!!」
思わず口を挟む
「違う!…いやそうなんだけど!きいて?」
「う、うん。」