私の失恋の行き着く先は…No.4
プロローグ


「ね?そろそろ見合いしてみない?」

女の私でさえ、見惚れてキュンとしてしまうくらいの美人が、目の前で片肘ついて可愛らしく首を傾げている。

いつもなら即刻お断りするお誘い。

けれど、今日の私は「それもいいか」と自棄になっていた。

アイスコーヒーを一口飲んで一息つき、頷いた。

「してみます」

話を受け入れた私を見て、目の前の美人は目を見開いて驚いている。

自分で誘っておいて、そんなに驚かなくてもいいのに。

「梢、どんな心境の変化よ?」

「いろいろありまして」

いろいろとは言ったものの、あったのはただひとつだ。

けれど、そのことは誰にも話すつもりはない。

たとえ、入社以来ずっとお世話になっていて、私を妹のように可愛がってくれている上司だとしても。





< 1 / 35 >

この作品をシェア

pagetop