私の失恋の行き着く先は…No.4
プロローグ
「ね?そろそろ見合いしてみない?」
女の私でさえ、見惚れてキュンとしてしまうくらいの美人が、目の前で片肘ついて可愛らしく首を傾げている。
いつもなら即刻お断りするお誘い。
けれど、今日の私は「それもいいか」と自棄になっていた。
アイスコーヒーを一口飲んで一息つき、頷いた。
「してみます」
話を受け入れた私を見て、目の前の美人は目を見開いて驚いている。
自分で誘っておいて、そんなに驚かなくてもいいのに。
「梢、どんな心境の変化よ?」
「いろいろありまして」
いろいろとは言ったものの、あったのはただひとつだ。
けれど、そのことは誰にも話すつもりはない。
たとえ、入社以来ずっとお世話になっていて、私を妹のように可愛がってくれている上司だとしても。
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