私の失恋の行き着く先は…No.4
誤魔化すように笑う私を見て、目の前の美人は心配そうな表情で身を乗り出した。
「なにがあった?」
あったこと前提で訊いてくるなんて、さすがだと感心してしまう。
「なにもありませんよ。あるわけないじゃないですか。そろそろお昼休憩の時間終わりますよ?会社に戻りましょう」
この話は終わりと言わんばかりに、アイスコーヒーを飲み干して席を立つ。
しばしば私をランチに誘ってくれるのは上司、と言っても元上司。
私が外資系企業に入社して配属されたのは秘書室だった。
目の前の美人は秘書室の室長代理で、専務の奥様である蓉子さんだ。
けれど、入社して半年後、経営戦略部の人員が足りないということで、私は秘書室から経営戦略部に異動した。