私の失恋の行き着く先は…No.4
それはそれで、大事に考えてくれていることが伝わってきて嬉しい。
けれど、私は課長の腕を離したくない。
もう、一ミリも離れたくない。
「遠慮も我慢もしないでください」
「北原さん!?」
なにもかも限界の私は課長の腕を掴んだまま俯いた。
すると、頭上で「あー…」と課長が唸っていて、思わず顔を上げた。
課長としっかり目が合う。
その目には熱が帯びているのがわかった。
「ちょっと待ってくれる?」
課長はスマホを取り出して、なにやら操作している。
終わると、私の手を繋いだ。
「行こう」
会計は蓉子さんが済ませてくれていたようで、私たちはそのままお店を後にした。
エレベーターに乗り1階に降りると、課長は真っ直ぐフロントに足を進めた。
手続きを済ませると、またエレベーターに乗り上階で降りた。
宿泊フロアだと、すぐにわかった。