私の失恋の行き着く先は…No.4
「それは忘れられない人ってことですね~」
「まぁ、そうかな」
「長年、鈴森課長がフリーな謎が解けました」
「なんだ、それ」
「課長ほどの人にどうして浮いた噂ひとつないのか、不思議で仕方なかったんですけど、納得しました」
「そうか」
鈴森課長の笑い声が私の心を一層悲しくさせた。
いつもより早く出勤して、コーヒー片手に経営戦略部のフロアに入ろうとした時、中から聞こえてきた会話に足が止まった。
鈴森課長と仙道くんは並んで窓の外を見ながら会話しているので、私の存在には気づいていない。
私の頭の中で「忘れられない人」という言葉が何度も繰り返される。
コーヒーを持つ手が震えているのに気づき、私は足音をたてないようにゆっくりと踵を返した。