エリート上司の甘く危険な独占欲
　そのメッセージを読んで、華奈はスマホをローテーブルに置いた。もう泣くのにも考えるのにも疲れてしまった。

（こうなったら金曜は飲んで飲んで飲みまくって、健太に愚痴ってやろう。それだって私の本当の姿なんだから）

　華奈は半ばやけになり、シャワーを浴びて早々にベッドに潜り込んだ。



　そうして颯真に会わないまま日々が過ぎていき、金曜になった。

　華奈は出社してロッカーに荷物を入れ、デスクに向かった。麻衣はすでに彼女の席に着いていた。麻衣の姿を見るたびに、罪悪感と裏切られた悲しみを覚えてしまう。そうして、いけないと思うのに、まだ颯真を想う自分の気持ちを再確認してしまうのだ。

　今日の麻衣は珍しく眉間にしわを寄せて、まだ真っ暗なパソコンのモニタを見つめていた。

「麻衣ちゃん……おはよう」

　華奈は心配になって声をかけた。

「あ、華奈さん。おはようございます」

　麻衣はなんとも言いがたい複雑そうな表情で、問いかけるように華奈を見つめた。

（もしかして、私が颯真さんと寝たって知ってしまったんだろうか）

　だが、それなら怒る方が自然だ。華奈はおそるおそる疑問の言葉を口にする。
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