エリート上司の甘く危険な独占欲
「なにかあった……?」
「実はですね……一之瀬部長から昨日の夜、電話があって、華奈さんが付箋のメモを読んだかどうか訊かれたんです」
「えっ」
「仕事上の伝言……じゃなかったんですか?」

 麻衣に探るように訊かれ、華奈の背中に嫌な汗が浮かぶ。

「え、し、仕事上の伝言だったよ! きゅ、急な出張になったって!」
「そうですよね。じゃあ、なんでわざわざ訊いてきたんだろ」

 麻衣は首をひねりながら、ブツブツと続ける。

「まあ、今日の午後、帰って来るみたいですから、問題があれば訊いてきますよね」

 最後は納得するように言って、麻衣はパソコンの電源ボタンを押した。

 まだ麻衣にバレたわけではないことには安堵したが、颯真がなぜわざわざ麻衣に訊くなんて危険なマネをしたのか、華菜にはまったくわからなかった。




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