エリート上司の甘く危険な独占欲
 華菜はおずおずと颯真を見た。彼はシートベルトを外して助手席を向く。

「華奈」
「はい」

 颯真は大きく息を吸って、ゆっくりと言葉を紡ぐ。

「好きだ」

 その言葉はまっすぐ華奈の心に響いた。彼の眼差しは強くて揺るぎなく、ただ一途に華奈を見つめている。

「華奈は?」

 華奈も同じように彼を見つめる。

(難しく考えちゃダメなんだ)

 その想いのままに口を動かす。

「好きです。大好き」

 言えなかった、言わなかった言葉を声に出すと、ほんの少し心が軽くなる。なぜそうしなかったのか不思議なくらいだ。

「俺も、大好きだ」

 互いに見つめ合いながら、ゆっくりと唇を触れ合わせる。今伝えたばかりの気持ちをもう一度伝えるように、互いの心に触れるように、想いを込めてキスを交わす。
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