エリート上司の甘く危険な独占欲
(まさか、彼女と……?)

 そんなはずはない、と思ったが、確信が持てず、華奈はメッセージを送る。

『それじゃ、明日なら行ってもいい?』

 少しして表示された返信も短い。

『ダメだ』
『日曜日は?』
『無理』
『会いに行っちゃダメなの?』
『来ないでくれって言っただろう』

 いら立ちのこもったメッセージを見て、心臓をギュッと掴まれたようなショックを受けた。

 理由も教えてくれず、来るなと言われる。

 言いようのない不安に突き動かされ、華奈はバッグを腕にかけるとロッカールームを飛び出した。

 そうして電車に乗って、颯真の部屋を目指す。

(こんなの、納得できない!)

 華奈が柊一郎に失恋したときのようなことが、もしかしてあの女性社員との間に起こったのではないか。

 信じたくはないけれど、そんな疑いが頭をもたげる。
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