エリート上司の甘く危険な独占欲
　毎週末乗っている電車なのに、今日はやけにスピードが遅く感じる。ようやく目的の駅に到着し、華奈は不安に押しつぶされそうになりながら、電車を降りて颯真のマンションに向かった。

　オートロックパネルで颯真の部屋番号を押して呼び出しボタンを押した。だが、しばらく待っても誰も出ない。

（いるはずなのに……出られないような状況なんだ）

　華奈はもらっていた合い鍵を使って、オートロックを解除した。そうしてエレベーターで最上階に上がる。

　不安でドキドキしながら、角部屋の鍵穴に鍵を差し入れた。ゆっくりと回してドアを開ける。

　部屋の中は真っ暗だった。華奈は廊下の壁を手探りして、電気のスイッチを探す。

　電気をつけたら、颯真がほかの女性と抱き合っていたら……。

　そんな嫌な想像をするとたまらない。それでも、華奈は震える手でスイッチを押した。廊下の突き当たりのベッドルームにそろそろ進むと、壁際のベッドルームでは毛布がこんもりと盛り上がっている。

　華奈はゴクリと唾を飲み込み、ベッドに近づいた。毛布から颯真の髪の毛が覗いていて、彼は壁の方を向いて体を丸めているようだ。
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