エリート上司の甘く危険な独占欲
 翌朝には颯真の熱は下がり、彼が「なにか食べたい」と言うので、華奈は卵粥を作った。それをダイニングで食べながら、颯真は笑顔で言う。

「ありがとう、すっかりよくなった。華奈のおかげだよ」
「ホント、感謝してよね。あんな強い調子で『来るな』なんて言われて、私がホントに来なかったら、颯真さん、今でもまだベッドの中で苦しんでたと思うよ」
「俺、そんな強い書き方したかな?」
「したよ」

 颯真が納得していない様子なので、華奈は自分のスマホを取ってきて、彼からのメッセージを表示させた。それを見て、颯真がしまった、というような表情をする。

「悪い。文字を打つのもしんどかったんだよ。ただ、華奈にうつしたくないから来ないでほしいって気持ちだけで、ろくに見直しもせずに送信したんだ」
「文字だけじゃ伝わりにくいこともあるの」

 華奈が膨れてみせると、颯真はうなずいた。

「そうだね。ごめん」
「元気になってくれたから許す」
「ありがとう」

 颯真が笑って華奈を手招きした。

「なぁに?」

 颯真はスツールに座ったまま、彼の膝を軽く叩く。どうやらそこに座れと言うことらしい。
< 140 / 161 >

この作品をシェア

pagetop