エリート上司の甘く危険な独占欲
華奈はビーチへと下りる階段を下りきって一歩踏み出したが、七センチヒールでは丸石のビーチは歩きにくい。
(仕方ない)
ビーチへ出るのは諦め、階段の一番下の段で、ネックレスの小箱を握った手を大きく振りかぶった。そうして海へと思いっきり放り投げる。
「えいっ」
酔っていて力がうまく入らなかったのか、黒い小箱は狙った海ではなく、こん、と小さく音を立て波打ち際に転がった。
「もう」
華菜はため息をついた。柊一郎は華菜を『派手な女』と決めつけた。付き合っていた半年間、いや、華菜が貿易管理部に異動になってからの三年間、いったい彼は華菜のなにを見てきたのだろう。
そんな彼からもらったプレゼント――ましてや手切れの品――など、二度と見たくない。
華菜はパンプスを揃えて脱ぎ、横にショルダーバッグを置いた。ストッキングだけになった足で、そっとビーチに下りる。丸い石が足の裏に痛いが、仕方ない。華菜は「いたた」とつぶやきながら、波打ち際に向かった。
どうにかたどり着いて小箱を拾い上げる。
「えいっ」
(仕方ない)
ビーチへ出るのは諦め、階段の一番下の段で、ネックレスの小箱を握った手を大きく振りかぶった。そうして海へと思いっきり放り投げる。
「えいっ」
酔っていて力がうまく入らなかったのか、黒い小箱は狙った海ではなく、こん、と小さく音を立て波打ち際に転がった。
「もう」
華菜はため息をついた。柊一郎は華菜を『派手な女』と決めつけた。付き合っていた半年間、いや、華菜が貿易管理部に異動になってからの三年間、いったい彼は華菜のなにを見てきたのだろう。
そんな彼からもらったプレゼント――ましてや手切れの品――など、二度と見たくない。
華菜はパンプスを揃えて脱ぎ、横にショルダーバッグを置いた。ストッキングだけになった足で、そっとビーチに下りる。丸い石が足の裏に痛いが、仕方ない。華菜は「いたた」とつぶやきながら、波打ち際に向かった。
どうにかたどり着いて小箱を拾い上げる。
「えいっ」