エリート上司の甘く危険な独占欲
「そうかぁ~。でも、一之瀬部長ってホントにイケメンだもんねぇ。あんなに大人の色気と余裕を感じさせる彼と、一度でいいから付き合ってみたいなぁ! 高級フレンチでのディナー! 高級ホテルの最上階スイートでの甘い夜! もう一夜だけでもいいよ~っ」
「独身主義者って噂もあるし、遊びでいいからって言ったら抱いてくれるかもよ」
「きゃ~!」

 聞こうとしなくても、彼女たちのはしゃいだ声は華奈の耳に届いてくる。華奈はホットコーヒーを飲みながら、彼女たちの噂の的である一之瀬颯真(そうま)のことを思い浮かべた。

 颯真は、華奈が配属されている貿易管理部の上のフロアにある総合販売部の部長だ。三十三歳という若さで部長を務める彼は、背後の女性たちが大騒ぎしている通りのイケメンだ。一八〇センチを超える長身で、無造作に整えられた少し長めの濃い茶髪とくっきりした二重、すっと通った鼻筋、そして形のいい唇が甘い雰囲気で、フィーカの女性社員の“恋人にしたい男性ナンバーワン”である。
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