エリート上司の甘く危険な独占欲
(だけど、“結婚したい男性ナンバーワン”じゃないんだよねぇ……)

 総務部の女性社員たちの話の通り、恋愛に関して派手な噂のある彼が、華奈は苦手だった。

「でも、やっぱ私たちみたいな平凡女子じゃダメだよ」

 女性社員たちの会話はまだ続いている。

「やっぱ貿易管理部の川村主任くらいでないと、一之瀬部長には相手にされないんじゃない?」

 突然自分の名前を出されて、華奈はあやうくコーヒーを噴き出しそうになった。

(な、なんでここで私の名前が出てくるの!?)

 華奈はペーパーナプキンを取って口元を拭いた。

 華奈がまさかこんなに近くにいるとは思っていないのだろう。女性社員たちは今度は華奈を話題にし始める。

「川村主任ってさ、この四月から主任に昇進したけど、確か入社四年目なんだよね?」
「そうそう! 二十六歳で女性で役職者ってすごいよね。やっぱできる女は違うんだ」
「一七〇センチくらいはありそうだよね?」
「それにスタイルもいいし髪もツヤツヤでさ! どこのシャンプー使ってるんだろう?」
「きっと輸入物の高級シャンプーだよ。長い横文字で、私たちが読めないような」
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